オデッセイ:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

オデッセイ

人類による有人火星探査ミッション「アレス3」が、荒れ狂う嵐によって中止に追い込まれた。ミッションに参加した6人のクルーは撤収を余儀なくされるが、そのひとりであるマーク・ワトニー(マット・デイモン)は暴風に吹き飛ばされ、死亡したと判断され、ロケットは地球に向けて発進してしまう。

だが、ワトニーは奇跡的に生きていた。独りぼっちで火星に取り残され、地球との交信手段もない。次にNASAが有人機を送り込んでくるのは4年後。サバイバルに不可欠な食糧も酸素も水も絶対的に足りない。そのあまりにも過酷な現実を直視しながらも、ワトニーは決して生き延びることを諦めなかった。幸いにも、彼は植物学者だった。感謝祭のためにクルーが保存していたわずかなジャガイモを種芋にして、ジャガイモの栽培を試みる。化学反応を利用して、水素から水を作り出し、クルーの残した排泄物を肥料に変えて、火星に畑をつくり、4年間生き抜こうとする。

そして、地球との通信手段も、アイデアを駆使して考え出すのだ。やがてワトニーの生存を知って衝撃を受けたNASAや同僚のクルーは、地球上のすべての人々が固唾をのんで見守るなか、わずかな可能性を信じて困難な救出プランを実行する。

水や空気、食料といった物理的な問題もさることながら、精神状態をいかに維持するか、といった精神面の問題が一番大変かも知れない。ワトニーは船長が残していったディスコミュージックのコレクションを「趣味が悪い」と不満を言いつつも聴き続ける。

 

オデッセイの写真

何度も絶望的な困難に遭遇し、それはすなわち死を意味するわけだが、そんなギリギリの精神状態を生きるワトニーをマット・デイモンが見事に演じている。

火星の描写は美しく、死の世界でのサバイバルは淡々としていて、ドキュメンタリーを見ているような気持ちになる。そして後半の救出劇は、少々ご都合主義的な設定があるにせよ、人の勇気と友情を感じさせるヒューマンドラマとなっている。

監督・製作=リドリー・スコット/出演=マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、キウェテル・イジョフォー、ジェフ・ダニエルズ、ショーン・ビーン、ケイト・マーラ/2015年、アメリカ

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