チャッピー:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

チャッピー

2016年の南アフリカ・ヨハネスブルグ。警察は多発する犯罪を防ぐために、兵器会社が開発したロボット警官隊を採用。多くの犯罪者を摘発する。

このロボット警官を開発したディオンはインド系の技術者でロボットオタク。退社後も自宅にこもってAI(人工知能)の開発に取り組んでいた。彼の夢は人間のような意識を持った完全に自立したロボットの開発だった。そして、ついに開発に成功した。ディオンは早速、上司にロボット警官にAIをインストールさせてほしいと願い出るが、自立した意識を持ったロボットなど必要ない、と断られてしまう。あきらめきれないディオンはインストールに必要なカードキーと戦闘で破損した廃棄予定のロボットを1体持ち出した。

ところが、移送の途中でニンジャ、ヨーランディ、アメリカら3人のギャングに誘拐されてしまう。彼らは麻薬の移送に失敗したことでギャングのボスから多額の金を要求されていた。開発者のディオンを誘拐して、ロボット警官隊の動きを止めれば、現金強奪がうまくいくと計画したのだ。

ところが、ディオンが話すには、ロボット警官隊の動きを止めることは不可能。そこで目をつけたのが、荷台にあった壊れたロボットだった。彼らは、ディオンにロボットを起動させ、犯罪に使おうとする。

AIをインストールされたロボットは無垢な赤ちゃんの状態。女性のヨーランディは、母性が目覚めたのか、ロボットに「チャッピー」と名付けて可愛がるようになる。チャッピーのほうも、ヨーランディをママと呼んで慕う。

ところが、パパ役のニンジャはチャッピーを犯罪に利用するため銃やナイフの使い方など、悪いことばかりを教える。純粋無垢なチャッピーはまだ善悪がわからず、犯罪の方法を言われるままに覚えていくのだった。ブレーキになるのは、「創造主」であるディオンとの「悪いことはしない」という約束。

兵器会社でディオンにゆがんだライバル心を抱くヴィンセントや、ギャングのボスもチャッピーを狙い、後半は三つ巴の戦闘シーンとなってゆく。

 

チャッピーの写真

監督は「第9地区」のニール・ブロムカンプ。「第9地区」と同じように近未来SFだが、貧富の差、犯罪、差別などが物語の背景にある。

3人のギャングたちは廃屋となった大きな建物の中に住んでいる。ヨーランディはベッドの中で、チャッピーに「黒い羊」が出てくる童話を読み聞かせる。黒い羊は、他の人とは違うという象徴的存在だ。そして、大切なのは外見ではなく、中身だと教える。

科学者であるディオンが追い求める「意識」や「人格」「心」とは、なんなのか、という問い。果たしてそれは数値化できるものなのか。

大げさに言えば、「人間とは何か」という問いにも思いをはせることができる作品だった。

監督=ニール・ブロムカンプ/出演=シャールト・コプリー、デヴ・パテル、ヒュー・ジャックマン、ニンジャ、ヨ=ランディ・ヴィッサー、シガニー・ウィーバー/2015年、アメリカ、メキシコ、南アフリカ

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「チャッピー」、DVD発売中、1280円(税抜)、発売・販売元=ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント