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「男はつらいよ」を初めてキチンと見たのは、学生の頃に乗った苫小牧行フェリーの中だった。旅情も手伝い、のめり込んだ。それから折に触れ見直しているが、同じ作品でも、自分の年齢で感じるところが違うから面白い▼第1作目は昭和44年8月公開。私が4歳の頃だ。初期の作品では蒸気機関車がよく登場する。現役で働くSLの姿は好きな人にはたまらないだろう。幼い頃、私は体が弱くて大分市にある病院に通院していた。その時に乗ったのもSLで、トンネルで窓を閉めないと、煙で車内が大変なことになったのを思い出す▼寅さんが歩く田舎道や、地方の街の風景、旅芸人一座など、今では見ることのできない景色や風俗である。ある意味タイムカプセルのような作品だ▼対馬でカワウソが生息しているのが明らかになり、絶滅したとされるニホンカワウソの生き残りではないかと話題になった。江戸時代には絶滅した動物はいなかったという。つまり、日本の原風景が失われ、日本固有の野生動物が次々に絶滅したのは明治以降のこと。戦後はさらに加速度を増した▼政党の名前にも使われるように、「明治維新」は美化され、良いことばかりが強調されがちだが、暗い側面も多分にある。急ぎすぎた改革や開発は失うものも多い。