猿の惑星 新世紀 ライジング:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

猿の惑星 新世紀 ライジング

 私が最初につくられた「猿の惑星」を観たのは多分5歳くらいの時だったと思う。街で見かけたポスターに興味を持ち、祖父にせがんで映画館に連れて行ってもらった。字幕だったので、意味はよく分からなかったが、映像には強烈な印象を受けた。今調べてみるとフランクリン・J・シャフナー監督によるこの作品は1968年製作で、私はまだ3歳。田舎の映画館にはかなり遅れて来たのだろう。73年までに続編が4作品つくられたが、私はいずれもテレビの「洋画劇場」で観た。当時はテレビで洋画を観るのが大きな楽しみだった時代である。3作目以降は一般的な評価は決して高くはないが、私はどの作品も面白かった。未来の地球では猿が人間を支配していたという事実が明らかになる第1作の衝撃的なラストシーン。超高速で移動する宇宙船で長年旅をすればタイムスリップが起こるという科学的な面白さ。3作目では未来の地球から現代の地球に猿の夫婦が宇宙船でタイムトラベルしてくる。そして、彼らの子孫が後に人間を支配することになるという、卵が先か鶏が先かというタイムトラベル物の矛盾の面白さがここにある。冷戦とベトナム戦争という時代背景もあってか、核戦争の愚かしさや、人種差別(この場合は猿と人間の差別だが)の問題も見え隠れして、幼心(おさなごころ)に大きな印象を残した。

 2001年に新作「PLANET OF THE APES/猿の惑星」が公開された時には、当然のようにかなり期待したが、期待が大きかった分だけ、かなりガックリきた。ティム・バートン監督の世界は「猿の惑星」には合わないと思った。

 「仕切り直し」というわけではないのだろうが、10年後の2011年に新シリーズとして「猿の惑星 創世記」、そして今回紹介する「猿の惑星 新世紀」が始まった。そもそもなぜ猿が地球を支配するようになったのか、を描いてゆく。

 

猿の惑星 新世紀 ライジングの写真

 アルツハイマーの治療薬の実験をきっかけに言語能力を得た猿のリーダー「シーザー」は、仲間の猿たちと森の中に村をつくって生活していた。「猿インフルエンザ」という自ら作ったウィルスのために人間は激減。もはや人間に遭遇することもなくなり、平和な生活を送っていた。ところが、生き残った人間が森に侵入。彼らは森の中にある水力発電所を再稼働させに来たのだ。再び起こる猿と人間との衝突。シーザーと人間のリーダーは何とか話し合いで解決しようとするのだが…。シーザーの「猿(エイプ)は猿を殺さない。(愚かな)人間とは違う」という信念もしだいに揺らいでゆくことになる。

 初期作品にあったタイムトラベルの要素がなくなってしまったのは物足りない気がするが、2001年の作品に比べればずっといい。直接の関係はないが、「シーザー」は初期作品に登場する猿の名前を継いでいる。

 監督=マット・リーヴス/出演=アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル/2014年、アメリカ

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 「猿の惑星 新世紀(ライジング)」、DVD発売中、税別3324円、20世紀フォックス ホームエンターテイメントジャパン