ローン・サバイバー:DVDジャケットの写真

日曜日に観たいこの一本

ローン・サバイバー

 厳しい訓練によって、新兵のほとんどが脱落するという米海軍の精鋭部隊、ネイビーシールズ。この部隊創設以来最悪と言われる「レッド・ウイング作戦」を映画化。

 アフガン戦争において、タリバン幹部を暗殺するために山岳地帯の偵察に出た4人の部隊。しかし、作戦の途中でアクシデントが起こる。茂みに隠れていたところ、山羊を追う農民3人に遭遇。ここで彼らは究極の選択を迫られる。解放すれば、タリバンに通報されてしまうかもしれない。しかし、農民を殺すことは軍規、倫理に反する。多数決の結果、この場合は正当防衛だとして農民を殺すべきだというもの1名、賛否を表明しないもの1名、解放すべきというもの2名で、解放することに。果たして、4人は200人のタリバン兵に包囲されてしまい、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

 原作はマーカス・ラトレル&パトリック・ロビンソン著「アフガン、たった一人の生還」。タイトルからも分かる通り、生還できたのは一人だけだ。映画「プライベート・ライアン」のように、この4人を救うために、より多くの隊員たちが命を落とした。

 

ローン・サバイバーの写真

 アフガン戦争に至るいきさつや、その後のイラク戦争、そして現在の過激派組織「イスラム国」との戦いを考えると複雑な思いがして、アメリカ礼賛のような映画なら観たくない、となかなかDVDのパッケージに手が伸びなかったのだが、結果的には観てよかったと思う。

 映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ「赤江珠緒 たまむすび」の中で解説しているのをユーチューブで再視聴して、涙が出た。町山さんは、映画公開前に、ただ一人生き残ったラトレル氏を訪ね、インタビューをしたという。ラトレル氏は今、亡くなった戦友たちの遺族を訪ね歩いているという。遺族は一様に「なぜ息子が死んで、あなただけが…」という複雑な想いをかかえている。ラトレル氏は命は拾ったが、一生背負っていかなければならない重荷も同時に背負ってしまった。それでも、3人の農民を解放したという選択は間違いではなかった、と話しているという。

 監督・脚本・製作=ピーター・バーグ/出演=マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、ベン・フォスター、エリック・バナ/2013年、アメリカ

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 「ローン・サバイバー」、DVD3800円(本体・税別)、ブルーレイ4700円(本体・税別)、コレクターズ・エディションスチールブック仕様ブルーレイ2枚組(4000セット数量限定生産)5800円(本体・税別)、発売中、発売元・販売元=ポニーキャニオン