市の計画除染が終了

空間放射線量の目標値を達成

 東日本大震災から3年。福島第一原発事故による放射能漏れで、松戸市も場所によって空間放射線量が高まった。市では直後から放射能対策と市民の不安払拭に追われてきたが、このほど除染が終了。空間放射線量の目標値も達成したという。

天地返しなど市内の学校で行われた除染作業の写真▲天地返しなど市内の学校で行われた除染作業

学校等720、住宅7000を除染

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災にともなう東電福島第一原発の事故で大量に漏れた放射性物質は福島県内をはじめ近隣自治体に住む住民に大きな不安を与えた。松戸市でも事故の後に降った雨の影響で、放射線量が高い、いわゆるホットスポットが見られた。市では近隣市に先駆け空間放射線量の測定を開始。平成24年6月5日には「松戸市放射能対策総合計画」(以下「総合計画」)を策定し、現在は食の安心が保たれ、空間放射線量低減対策(計画除染)は先月までに目途が立ったという。

 市では「本市の放射能問題が大きな山を超えました。空間放射線量の低減など大きな効果がありましたが、放射能問題が全て終息したわけではありません。総合計画の最終年度である平成26年度においても、引き続き市民の皆様の不安解消に向けモニタリングなど必要な事業は継続していきます」としている。

 総合計画の柱は「食品安全」「環境放射線低減対策」「廃棄物処理」「健康管理」の4つ。

 「食品安全」では、平成23年10月から保育所(園)、小中学校等の給食で使用予定の主な食材の放射性物質検査を実施、24年2月からは給食提供後に1食分の「給食まるごと放射性物質検査」を実施してきた。昨年12月末現在で検出されることはなかったという。食品中の放射性セシウムの基準値(平成24年4月~)は、1kgあたり飲料水で10ベクレル、牛乳、乳児用食品が50ベクレル、一般食品が100ベクレルだ。

 市内で生産された農産物や農家持ち込みによる販売農産物、市民持ち込みによる市民農園、家庭菜園などの自家栽培農産物の検査も行った。

 市内産ゆずは平成24年11月30日より出荷自粛していたが、昨年11月20日に県が実施した検査で基準値を下回ったため、市内産農産物は全て出荷自粛解除となった。

 「環境放射線低減対策」では、これまで約1万4500施設、約7万8000点の空間放射線量を測定。指標値(毎時0・23マイクロシーベルト)以上の箇所については、低減対策を行い、現在は指標値を下回っているという。

 平成23年度は129施設の平均値が0・28マイクロシーベルトと指標値を超えていたが、24年度は607施設の平均値が0・15、25年度は0・12マイクロシーベルトと下回った。

 子ども関係施設や学校では720施設で除染を実施。昨年3月末までに終了した。今後も継続的な測定により空間放射線量を監視し、指標値を上回る箇所が確認された場合は、再除染を行うという。

 市管理通学路についても1136箇所で測定。16箇所が指標値を超えていたため、側溝清掃などを行い、全地点で指標値を下回ったという。

 民有地については1万3955件の受け付けに対して、1万3710件で測定。1箇所でも指標値を上回った箇所があったところ、7068件(測定件数の51・6%)で除染を行った。

 「健康管理対策」では、平成24年6月から幼児検診の問診に放射能問診を加え、保健師が相談に対応。放射線専門の医師による放射線にかかわる健康相談も開始された。同年10月から内部被ばく測定(ホールボディカウンター)費用の一部助成も始まった。

 「焼却灰対策」については、市内に2箇所ある焼却施設のうち、和名ヶ谷クリーンセンターから排出される焼却灰については、民間最終処分場の自主規制値を下回っていることから、通常どおり埋立処分を行っているが、クリーンセンター(高塚新田)から排出される焼却灰(飛灰)については1kgあたり8000ベクレルを超えていた(平成23年7月以降25年8月ごろまで)ため、放射性物質汚染対処特措法により指定廃棄物に指定され、民間最終処分場での処分ができなかった。国は、平成27年3月末までに千葉県内に指定廃棄物の最終処分場を建設するとしているが、それまではクリーンセンターの場内と24年11月にできた手賀沼一時保管施設に保管せざるを得ない状況。飛灰の保管量は今年2月末現在で1156・25トンとなっている。

 焼却灰の放射性物質濃度上昇の要因とされている剪定枝等は、23年8月から分別収集を行っているが、最近では焼却灰の放射性物質濃度が減少していて、和名ヶ谷クリーンセンターでの焼却処分と併せ、市外業者による処理を行っている。

 現在、協力者が不足しており、募集している。また、同会の事業を支援する賛助会員(個人・法人・団体)も募集している。

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