廃食用油が燃料に

市にBDFごみ収集車

 松戸市は、このほど廃食油を精製した100 % B D F( バイオディーゼル燃料)を燃料としたごみ収集車1台を走らせることにした。この取り組みは、平成20年2月から松戸市異業種交流グループ「松戸テクノプラザ」が中心となって松戸市、松戸商工会議所協力のもと、家庭で不要となった廃食用植物油を原料としたBDF精製作業を実験的に行い、実用化に向けての原料の回収方法や精製のノウハウを蓄積してきたもの。

BDFで走る市のごみ収集車の写真▲BDFで走る市のごみ収集車

 BDFは軽油の代わりとなる燃料として使うことができるが、二酸化炭素(CO2)の排出量は、原料となる植物が成長過程で吸収した二酸化炭素の量以上は発生せず、軽油に比べ、排気ガスに含まれる硫黄酸化物や黒鉛、窒素酸化物、浮遊粒子状物質などは少ないとされている(松戸市では、環境計画課減CO2担当室が担当課)。

 廃食油の回収では、NPO法人松戸エコマネー「アウル」の会が協力。同会の拠点に廃食油を持参すると500mlで10アウル券1枚と交換できる(アウル券は協賛店で買い物補助券として利用できる。10アウルは10円)。同会の拠点は14か所、協賛店は41店舗。平成23年度からは松戸市との協働事業として、605リットルを回収した。

 松戸市の回収は平成20年度からモデル事業として実施。拠点は3か所。本庁と市内ガソリンスタンド2店舗に不要となった廃食油をペットボトルなどの容器に入れて持参してもらった。23 年度の回収量は1 3 0 0 リットル。

戸田建設(株)のBDF製造所の写真▲戸田建設(株)のBDF製造所

 廃食油の精製をしているのは、「松戸テクノプラザ」の構成員である戸田建設㈱。平成22年2月に同社松戸工作所敷地内にバッチ式BDF製造装置(1日200リットル)を設置し、発電機の燃料などに使用していたが、24年2月より品質向上と生産量の拡大を図るために、連続式BDF製造装置(1日600リットル)に刷新した。

 千葉県内で、公用車の燃料を100%BDFで運行させているのは、南房総市と松戸市の2市だけ。また、松戸市のようにBDFの原料回収をNPO法人などの協力を得て行い、BDFの供給を市内事業所の協力により行うことは、全国的にも珍しい取り組みだという。