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バックナンバータイトル671号

北野道彦賞17年の歴史に幕

最後の受賞者に松戸史談会

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東葛地域の文化の向上に貢献した個人・団体に贈られてきた「北野道彦賞」が17回目の今年で終わることになった。作家で編集者でもあった故・北野道彦さんが全財産を投じて平成4年に創設したが、ゼロ金利時代が長く続いたことで、資金が底をついたという。これまでの受賞者・団体は48。それぞれに研究資金として30万円が贈られた。最終回の今年は松戸史談会会長の松田孝史さん(75)と流山市立博物館友の会が受賞した。

【戸田 照朗】

同賞を企画・運営してきたのは流山市立博物館友の会。流山市の「見る資料館から参加する資料館へ」というスローガンに応えて昭和53年に発足した民間の団体だ。当時は資料館友の会と称し、後に博物館友の会となった。当時、旅行作家で横浜から流山に移り住んだ山本鉱太郎さん(78)の仕事場を、同じく世田谷から流山の有料老人ホームに移ってきた北野さんが訪ね、いっしょに会を発足しないかと熱心に誘ったという。設立総会には地域の文化人など20人が集まった。

北野さんは『人間の歴史をたずねて』(昭和21年・実業之日本社)など主に児童向けに終戦直後から本を書いてきた。流山に移り住んだ晩年の20年間には『利根運河』(昭和51年・崙書房出版)、『町民鉄道の60年』(昭和53年・同)、『落花生の話』(昭和54年・同)など地元に題材をとった作品を残している。また、利根運河の建設に貢献したオランダ人土木技師ムルデルの記念碑建立にも尽力した。

スペース 北野道彦氏

▲北野道彦氏(昭和31年1月)

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        市内からの受賞者

田嶋昌治さん

▲田嶋昌治さん

 

田中利勝さん

▲田中利勝さん

 

渡邉幸三郎さん

▲渡邉幸三郎さん

スペース 丸山由利亜さん

▲丸山由利亜さん

 

松戸市に夜間中学校をつくる市民の会

▲松戸市に夜間中学校をつくる市民の会

 

松戸史談会(松田会長)

▲松戸史談会(松田会長)

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山本さんは「北野さんは謙虚で古武士のような人だった。だから全財産をなげうつようなことができたのだと思います。2000万円の資金は、最初は友の会に寄付するという話でした。賞の創設はこちらから提案したんです。自分の名前を冠した賞を自分で創るような人じゃありません」と話した。

北野さんは2回目の授賞式を見た後に90歳で逝去した。同賞の選考委員会はこのほど『東葛の文化と北野道彦賞』(非売品)を発行したが、同書には会員の北野さんへの敬意があふれ、その人柄が偲ばれる。

結成から30年がたつ同会には300人の会員がいる。「流山」「博物館」という狭い範囲にとらわれず、東葛地域をホームグラウンドとしてグローバルな活動を続けている。柏や我孫子、松戸、野田などに支部があるほか大阪、東京、奈良、つくばなど全国に会員がいるという。

北野賞のほかにヌーベル文化賞への全面協力や、手賀沼の浄化を願ってのオペラ「手賀沼賛歌」の上演をはじめ、各地の環境団体や文化団体との交流、『東葛流山研究』の出版や文学歴史散歩、博物館めぐり、シンポジウム、講演会などを行ってきた。また、会員向けに山本さんが講師を務める文章講座からは多くの書き手が育っており、地元の崙書房出版から多くの本が出版されている。川柳講座や朗読講座もある。

松戸では6団体・個人が受賞

最終回に同賞を受賞した松戸史談会は、昭和35年に市内に住む中学校校長、市史編さん委員、地域資料収集家など5人で結成された。現在の会員は75人。会員の地域の歴史研究の発表の場でもある会誌『松戸史談』を毎年発行するほか、年3回行われる会員勉強会、年6回行われる一般市民も参加しての「史跡めぐり」、年2回の講演会などを行っている。また、昨年からは市内の小中学校の地域学習に協力する目的で希望のあった学校に講師を派遣している。会長の松田さんは「松戸を歴史と文化の香る町に」という思いで活動しているという。

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選考委員でもある山本さんは「松戸史談会には、松下邦夫さんや(先代の)青木源内さん(いずれも故人)などの尊敬すべき郷土史家がいた。いつかは松戸史談会に、と思っていた。それで最終回に、ということになったんです」と話していた。

第3回受賞の小金の緑と文化財を守る会の田嶋昌治(しょうじ)さん。昭和51年に殿平賀小学校の建設工事が殿平賀貝塚の上で始まり、会を作る。発掘調査の結果、貴重な遺物も見つかり市教委も認識の不十分さを認めることになった。「史跡めぐり」などの活動を続けている。

第5回受賞の丸山由利亜さん。昭和2年神戸市生まれ。叔父は新劇の名俳優だった丸山定夫さん。劇団手織座に入団。舞台やテレビで活躍したが、退団後は昭和61年に「語りと音楽の会」を発足。「丸山由利亜の演劇行脚」と称して松戸をはじめ全国で192回もの公演を行った。

第7回受賞の自然通信社の田中利勝さん。平成3年から毎月ミニコミ誌『自然通信』を発行している。自然観察に便利なガイドブックを発行するほか、「江戸川の自然環境を考える会」などの代表として、自然観察会やシンポジウムなどを企画。

第13回受賞の「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」(藤田恭平代表)。昭和58年から松戸市に公立夜間中学を開設することを訴えてきた。週に2回、市勤労会館で行われている松戸自主夜間中学は開講2140回を超え、学んだ生徒は1200人を超える。

第15回受賞の渡邉幸三郎さん。大正14年市内樋野口生まれ。平成5年に安藤操氏と『写真集・松戸の昭和史』(千秋社)、17年に古老からの聞き取りなどを集大成した労作『昭和の松戸誌』(崙書房出版)を発行した。

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柳原水閘が近代化産業遺産に

現存のレンガ製樋門は希少

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近代化産業遺産に認定された柳原水閘

▲近代化産業遺産に認定された柳原水閘

 

下矢切にある柳原水閘がこのほど、経済産業省制定の近代化産業遺産の認定を受けた。これを記念し、松戸市では柳原水閘前に記念碑を建立、先月27日に除幕式をおこなった。

柳原水閘は明治37年(1904)、排水が悪く毎年のように水害を引き起こしてきた坂川治水のため、坂川普通水利組合によって建設された。工期はわずか6か月、総工費は1万8914余円。レンガ製4連の樋門を持ち、下流部にゲートがある造りで、このようなレンガ製の樋門は築かれた時代が明治中期から大正後期までの20年から30年間程度であることから、現存するものは少なく、柳原水閘ほど大規模なものは非常に珍しいという。平成7年4月に市指定文化財、同年5月に産業考古学会産業遺産認定、平成16年度には土木学会選奨土木遺産認定を受けている。

今回認定を受けた近代化産業遺産は、幕末から昭和初期にかけて日本が産業の近代化を成し遂げた時代を物語る建造物や機械などを掘り起こし、今後の活力ある地域づくりに役立てようと昨年、制定されたもの。この中で柳原水閘は、建築物の近代化に貢献した赤レンガ生産などの歩みを物語る遺産のひとつとして認定された。

記念碑は柳原水閘の現存する柳原親水広場に建立され、その近くには記念樹として桜(やえべにしだれ)も植樹された。

【竹中 景太】

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ゆいの花公園が1周年

18日よりフェスタを開催

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ゆいの花公園が1周年

昨年5月に開園した「東松戸ゆいの花公園」=写真=では、今月18日から25日まで、「ゆいの花公園1周年フェスタ」を開催する。

この公園は、市内に住む男性が土地の購入から公園整備、園内の備品に至るまですべてを施した上で市に寄贈し、昨年5月19日に開園した。園の名称にある「結(ゆ)いの花」は、実際にある花ではなく、「市民一人ひとりが花によって結ばれ、花を通じて輪が広がり、心の潤いや心の安らぎを感じてもらえれば」という寄贈者の思いから、その名称がつけられている。

公園は市立松戸高校のすぐそばにあり、広さは約1ヘクタール。園内には、色とりどりの花がおしゃれに植えられ、奥には芝生広場やクラブハウスがあり、市民の憩いの場としてすでに定着している。このゴールデンウィークも家族連れなどで賑わいを見せていた。

1周年フェスタでは、「たくさんの花を見てみよう」「みどりと花に囲まれて音楽を聴こう」「青空の下でおしゃべりしよう」という3つのテーマのもとイベントを開催する。「たくさんの花を見てみよう」では、1周年記念市民花壇の設置やプランターによる寄せ植えの展示、子どもたちによるフラワーボックスの設置。「みどりと花に囲まれて音楽を聴こう」では市立松戸高校や河原塚中学校の吹奏楽部、市内で活動する音楽団体などが演奏をおこなう『ゆいの花音楽会』(18・24・25日)を実施。「青空の下でおしゃべりしよう」では『ゆいの花座談会』(25日12時〜)を開催する。

その他、元松戸市都市整備本部長で現在は7松戸みどりと花の基金で理事長を務める峯岸照恭氏による「てるさんの紙芝居」(18日12時〜・14時30分〜、25日11時〜)の上演や花に関する講座、来園者参加イベントとして「どんぐりストラップ」(18・24日12時30分〜。各回先着200人)や「押し花を利用したしおり」(19日12時30分〜、25日10時30分〜。同100人)を作るイベントなどもおこなわれる。

同公園は入園無料。駐車場(40台)あり。開園時間は午前9時より午後5時まで(11月〜2月は午後4時30分まで)。休園日は、毎週月曜日(祝日・休日の場合は翌日休園。5月19日は臨時開園)と年末年始(12月28日〜1月4日)。

【竹中 景太】

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障害児と暮らせるホーム

30日に東京で講演会

獨協大学名誉教授で有料老人ホーム「ロイヤルハウス石岡」の園長を務める大久保貞義氏が「生涯保証制度の活用 障害児を持つ老親が安心して暮らせる方法」と題して、30日午後1時30分から三菱・コンファレンススクエア「エムプライス」(東京駅中央郵便局前)で講演会を行う。費用は無料。要応募。

障害児を持つ老親が一番心配なのは我が子の行く末。親が若いうちは身を粉にして生活を共にできるが、年老いてくると体力的に無理がある。しかし、障害児と共に入居できる施設はほとんどない、という。

10年前から「老親と障害児が安心して暮らせる」ために受け入れ体制を敷いた同施設の大久保園長がその意図などを講演する。

大久保園長は「建設当時から障害を持つ方でも他人に迷惑をかけない限り入居を認めてきました。親子で、あるいはご夫婦でともに苦難の人生であっても老後を楽しく過ごそうと努力されております。残された障害児が、人間として尊厳を持って一つの人生を終焉することを望んでおります。そのために、生涯保証制度を制度として維持することが望ましいと考えています」と話している。

【講演会 障害児を持つ老親が安心して暮らせる方法】

▼日時=5月30日f、13時30分〜14時30分(14時45分より個別相談・1組30分) ▼場所=三菱・コンファレンススクエア「エムプライス」(東京駅中央郵便局前) ▼招待数=50人(応募多数の場合は抽選)

▼応募要領=電話かハガキ、FAXで〒住所、氏名、年齢、電話番号、個別相談希望の可否を明記 ▼応募先=〒101│0044東京都千代田区鍛冶町1│9│15 第2大河内ビル9階 大通内「講演会無料招待」係 ▼問い合わせ=1 03・3258・0731、FAX03・3254・5392「大通」講演会事務局

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「過去最高の仕上がり」と自負

▲「過去最高の仕上がり」と自負

 

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北総鉄道 女性社員が手がけた

えきまちマップ最新版

沿線の隠れた名店など紹介

 

北総鉄道ではこのほど、北総線沿線の隠れた名店やお洒落なスポットなどを紹介するガイド誌「えきまちマップ」の最新版を作成。ゴールデンウィークを前に、同線各駅で配布をおこなった。

「えきまちマップ」は、同社の女性社員が掲載店舗の選定から取材、原稿執筆など編集作業のほとんどを手がけたガイドマップ。2000年11月発行の「北国分駅編」に始まり、「矢切駅編」「新柴又駅編」などを発行し、今回の最新版は7作目となる。

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最新版で取り上げたのは、千葉ニュータウンエリアの大特集。過去に紹介した西白井、千葉ニュータウン中央、印旛日本医大の各駅周辺を中心に、新たに沿線に進出した大型商業施設も紹介している。

刊行に際しては、女性社員が同エリアのローラー作戦を敢行。過去のマップで紹介したお店の再取材はもちろん、新たに発掘した隠れ家的名店などを追加。お店まわりのついでにふらっと立ち寄れる野鳥観察ポイントなどの散策スポットも紹介している。

最新版の制作を手がけた女性社員は「今回は掲載店舗も多く、各お店の調査から始まり、写真撮影や原稿の作成、校正作業など最後までいろいろ大変でしたが、苦労しただけあり出来上がりは過去最高の仕上がりと自負しています。このマップを利用して、多くのお客様が北総沿線に足を運んでいただけたらと願っています」としている。

「えきまちマップ」最新版は、2万部の発行。駅によっては、まだ在庫もあるという。問い合わせは、1047・445・1901北総鉄道運輸部営業課まで。

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