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バックナンバータイトル641号

「パートナーシップ」どこへ

 市、条例案策定で公募市民と対立

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パートナーシップ検討委員会が開催したフォーラム

▲パートナーシップ検討委員会が開催したフォーラム

「市民と行政が共に考え、共に汗を流す」新しい時代のパートナーシップの構築に向け、松戸市がこのほど、「松戸市協働のまちづくり条例案」をまとめた。条例案は3月市議会に提案される予定だが、ここにきて、同条例案の策定にかかわってきた委員らから異論の声があがっている。市民と行政のパートナーシップを目指す条例案なのに、その策定段階から市民と行政のパートナーシップに亀裂が生じている。

【竹中 景太】

元委員らが公開質問書

松戸市は同条例案の策定に向け、平成14年6月に市民公募の委員56人らによる「松戸市パートナーシップ検討委員会」を立ち上げ、その後、16年11月から「松戸市パートナーシップ条例案策定委員会」で議論を重ねてきた。同策定委員会から昨年2月に出された最終答申をもとに、同12月に条例案はまとめられ、市のホームページで公開、市民からのパブリックコメントの募集もおこなわれた。

まとめられた条例案は策定委員会の元委員らにも送られたが、これを目にした渡辺俊一元策定委員長ら同元委員7人を含む15人が、答申とはかけ離れた内容、などとして先月15日、川井敏久市長に公開質問書を提出。市は同30日、その回答を公表した。

質問書では、条例案の名称が「パートナーシップ」から「協働のまちづくり」に変更した理由、答申がどのように条例案に尊重されたのか、パートナーシップの定義をあえて歪曲させたのはなぜか、などについての回答が求められていた。これらの問いに市は、まず名称変更の理由として「最終答申を検討し、条例案を作り上げた段階で、その内容をわかりやすく的確に表現するため、用語の使い方を整理した」と回答。答申の取り扱いについてでは、答申で委員会が設置を提案したパートナーシップ市民会議及び同会議運営委員会などを条例案に規定できなかったのは「実現可能性や実効性を勘案して判断した」などと回答した。

元委員らは「質問した内容に正面から答えていない。これからパートナーシップの推進、協働の推進を施策に掲げようという市とはとても思えない。誠意のない回答である」などとしている。

条例の名称から変更

「全く評価できない。委員会で当初、市が出してきた案より後退した内容」。こう話すのは、元委員の一人。検討委員会の時から見てきたといい、検討委員会の時はまだいい議論ができていたが「役所は何かにつけてやれないと言い、やらない理由、方法を考える。こちらがどれだけ意見を言っても。従来の枠組みをどれだけ超えられるか、それができないのではいいものなんてできるわけがない。委員会ではできないと言うだけで、新しい提案やアイディアを出してくれなかった」と市に反論するというより、あきれている様子。

市の条例案を見て、最初に驚いたのが名称の変更だった。「協働はパートナーシップの一部でしかない。これでは、ある特定の市民団体との協働事業の条例になってしまう」。委員会が答申で提案した、パートナーシップ市民会議及び同会議運営委員会の設置は、ただの協働事業にさせるのではなく、市民団体などと行政が輪になって意見、アイディアを出し合う、そんな場を作るという積極的な姿勢の意味でも、条例に盛り込むべきと話す。

この委員によると、市民団体と市が協働して事業をおこなっているケースは現在も多くあるという。ただ、それは各事業ごとで、全体としてのつながりはない。それを今回の条例でつくりたかったという。「条例案に盛り込まれなかった内容は、何らかの形で描かせたい。松戸にはがんばっている市民団体などがたくさんある。そうした活力が生かせるように」。

タウンミーティング開催

「松戸市協働のまちづくり条例(案)」を考えるタウンミーティングが、25日午後1時45分より、まつど市民活動サポートセンターでおこなわれる。このタウンミーティングは、市民有志により組織する実行委員会の主催。

内容は、経過報告と条例案についての説明(元条例案策定委員より)、参加者によるワークショップ(この条例案をどう活用できる? 問題点は何? より良い条例にしていくためには?)。

同実行委員会では「市は、条例案に関するパブリックコメントを市民から求めましたが、条例案に関する市民への説明会を実施する予定がありません。しかし、市民と行政との協働について定めたこの条例こそ、市民へ十分な説明をし、市民の理解を得ないと、真の協働はありえません」とし、多くの市民の参加を呼びかけている。

問い合わせは、1364・6356浅井さん、または1360・6064吉野さんまで。

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幼い命と医療への想い本に

市内在住の小児科医・山辺一身さん

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患者さんからの手紙を手にする山辺一身さん

▲患者さんからの手紙を手にする山辺一身さん

 

元気にな〜れこどもたち

▲「元気にな〜れこどもたち」水書坊 800円(税別)

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昨年4月、水書坊という出版社から「元気にな〜れ こどもたち」という本が出版された。

書いたのは、山辺一身(やまべいっしん)さんという市内在住の小児科医。山辺さんは、都内の大学病院に勤めている。団塊の世代でもあり、日本の医療を30年以上見つめてきた。同書は、現在の医療の問題や、山辺さんの体験を分かりやすい文体でつづったもの。現職の医師でもあり、本名ではさわりがあるため、山辺一身はペンネームだ。

同書を読んで、記者はずいぶんと医者のイメージが変わった。

小児科、特に白血病の専門医ということもあるのだろうが、山辺さんの文章には、やさしさが満ちている。

山辺さんが、白血病の専門医の道に進んだのは、まだ駆け出しの医師のころに、多くの子どもたちを見送らなくてはならなかったという経験からだという。無力感にさいなまれ、「精神的な荒廃の中で自分を見失いつつあった」という。そんなとき、イギリスで白血病の研究をするという機会に恵まれた。

若い医師には、壁にぶつかった後、いくつかの選択を迫られる瞬間があるという。特に若い医師の給与は安い。大学病院に勤務していても、他の病院でアルバイトしなければ生活できない。教授になったとしても、同世代で大会社に勤めた人の半分ぐらいの給与だという。それでも、大学に残って研究を続けるか、経済的に安定する開業医を目指すか…。山辺さんは前者を選んだ。

同書には、大学病院で短い生涯を精一杯生きた子どもたちとの心の触れ合いなども描かれている。

「亡くなった子どもたちのことは、いつまでも忘れません。ずっと心に残っている」と山辺さんは話す。大学病院にある山辺さんの部屋には、子どもたちからもらったハガキなどが何枚かはられていた。

多くの死を間近で見れば、しだいと死に対する感覚がにぶくなっていくのが普通だ。でも、山辺さんは、今でも患者さんが亡くなるたびに泣くのだそうだ。「そういう気持ちは忘れてはいけないと思っています。実は、看護師たちも霊安室などでは、声に出して泣いてるんですよ」。

日本の医療をめぐる環境は厳しいという。小児科は激務であるうえ、病院では非採算部門であるため、小児科医を目指す医師が減り、小児科を閉鎖する病院も増えている。

同書には、過労と精神的プレッシャーから、うつ状態になり、自ら命を絶ってしまった、山辺さんの同僚や、過労死と思われる若い女医さんの話が出てくる。

医師も普通の人間。スーパーマンではない。少子化が問題となるなか、経済効率優先で小児科の現状が悲惨なものになるまえに、国がなにかしらの援助をしていくことが必要なのではないか、と感じる。

山辺さんは、教授として若い医師の卵たちの教育にもあたっている。山辺さんの授業では、「葉っぱのフレディ」(レオ・バスカーリア)、「さっちゃんのまほうのて」(たばたせいいち)、「ラヴ・ユー・フォーエバー」(ロバート・マンチ)などの絵本を読ませるのだという。いずれも、「命」や「子ども」をテーマにしたお話だ。朗読する学生の何人かは、目に涙を浮かべて読むという。

「医療や、小児科を目指す学生には、やはり純粋な人が多いんですね」。

白血病という、困難な病に立ち向かいながら、山辺さんは未来を信じている。

【戸田 照朗】

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17日「世界前哨戦」へ

東洋太平洋王者・榎洋之選手

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市内在住のプロボクサーで東洋太平洋フェザー級王者、榎洋之選手(27・角海老宝石ジム)が17日、後楽園ホールで「世界前哨戦」としてクラープデン・ギャットグリーリン選手(タイ7位)と戦う。榎選手は26戦25勝1分。いまだ無敗を誇っている。

榎選手は、昨年9月16日に初防衛戦として、オーストラリアのナデル・フセイン選手(同級6位)と戦った。フセイン選手は、41勝(26KO)3敗。3敗は全て世界王者との対戦という、力のある選手。フセイン有利との戦前の予想もあったが、榎選手は、12R3−0の判定で、文句なしの勝利を収めた。フセイン選手が敗れた相手は、榎選手以外は全て世界チャンピオンということになり、榎選手の力を改めて示す結果となった。

榎選手は「本物の世界ランカーと戦って勝てたことは、すごく自信になった。フセイン戦をやらずに世界戦を戦うのと、フセイン戦を経験したのとでは全然違うと思う。この試合ができたことは本当に運がよかった」と話している。
また、フセイン戦では自分に足りないところも分かった、という。「何度かチャンスがあったのに、倒せなかった。まだ回転力が足りない。スタミナをつけないと」。

17日の試合も大切な試合。「倒すことは難しいかもしれないが、確実に勝たなければいけない試合。相手もベテランなので、油断せずに戦いたい」。
世界戦はまだいつになるか分からないが、「ここまでこれたのもジムのお陰。世界戦のことはジムに任せています。自分は今できることをやるだけ」と話していた。

【戸田 照朗】

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スペース ロードワークに励む榎洋之選手(運動公園)

▲ロードワークに励む榎洋之選手(運動公園)


吉見稲荷山遺跡	 漆液容器出土状態(再現)

▲吉見稲荷山遺跡 漆液容器出土状態(再現)

 

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「勾玉」の体験講座も

市立博物館で出土遺物巡回展

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出土遺物巡回展「房総発掘ものがたり」が、17日より3月25日まで市立博物館で行われる。

千葉県内では、年間約450件もの発掘調査が行われているが、特に注目されている8遺跡を選んで、遺物を展示する。

展示資料は約350点。出展遺跡は、墨古沢南・遺跡(酒々井町)、吉見稲荷山遺跡(佐倉市)、長倉宮ノ前遺跡(横芝光町)、上谷津第1遺跡(千葉市)、鹿島台遺跡D区(君津市)、西根遺跡(印西市)、永吉台遺跡群(袖ヶ浦市)、西野遺跡群(市原市)。

期間中の今月24日と3月3日の14時30分からは、無料の展示解説会が行われる。

また、3月10日には、10時から体験講座<1>「勾玉をつくろう」、13時30分から<2>「鹿の角ペンダントをつくろう」が開催される。いずれも定員30人(小学生以上)、材料費300円。会場は森の工芸館。希望者は、往復はがき(1人1枚)に、住所、氏名、電話番号、学年、希望講座名(<1>か<2>。はがき1枚につき1講座のみ)を明記して、〒270−2252、松戸市千駄堀671番地、市立博物館「勾玉」係まで。2月21日必着。問い合わせは、電話384・8272まで。

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給与明細に広告を

市財政の一助に

松戸市人事課では、市職員4200人の給与明細に掲載する広告を募集している。厳しい財政状況から、試みられることになった。他自治体では図書館の自動検索の用紙に広告を載せている例もあるという。

募集するのは、6月の期末勤勉手当てから11月給与までの6回分、3枠。1枠は68ミリ×179ミリ以内で2色刷り。1枠税込10万円以上(版代、印刷費は市が負担)。

担当者は、「給与明細の印刷費がクリアできる程度の広告が入れば」と期待を寄せている。

公序良俗に反するものなどは掲載不可。広告掲載基準に適合する申し込み者の中から、金額の高い順に3つの広告を決定。原稿案を事前に人事課へ提出してから、28日までに所定の申込用紙に原稿案を添付して申し込む。問い合わせは、1366・7306市人事課まで。

【戸田 照朗】

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