新市立病院移転・建て替え問題

上限額設けず業者を公募

 2017年3月の開院を目指している新市立病院の移転・建て替え問題で、市議会の病院建設特別委員会が10日開かれ、市は昨年実施した設計・施工の一括発注公募で参加表明していた建設業者3社がいずれも辞退したことへの今後の対応策として、上限提案価格を設定せず業者からの提案額をもとに後日予算措置する形で、あらためて業者を公募したい考えを示した。発注側の市ではなく、受注する業者が価格を提案するという今回の措置は異例で、市によると全国で同様の事例はないという。

移転建て替え問題がいまだ解決しない現在の市立病院の写真▲移転建て替え問題がいまだ解決しない現在の市立病院

〝青天井〟懸念の声も

 新市立病院は、現在の市立病院から県立松戸高校方面に進んだ先の千駄堀予定地(全事業地面積約6万9800㎡、病床数600)に建設する計画で進められている。昨年10月、設計と施工を一体化し、技術力なども考慮した一括発注公募型プロポーザル方式による事業者選定を決め公募を開始し、大手ゼネコン3社から参加表明があったが、その後「市が示した上限価格では対応できない」として3社いずれもが参加を辞退し、解決の目処が立っていない状況だった。

 この日の特別委で市は、まず、参加表明していた業者が辞退した理由やその背景など、現状までの推移を説明。その上で、今後の対応として、建設資材の高騰や労務単価の上昇などで工事施工時期となる1年後を予測した工事費を導き出すことは困難で、たとえ上限提案価格を設けても業者が必ず決まるとは限らないこと、できるだけ早期の新病院開院のために、上限提案価格を設定せず業者を公募する案を示し、議会側に理解を求めた。また、新病院の規模・機能などの変更は行わず、基本計画、基本設計を遵守する考えも示した。

 しかし、委員からは「上限額がなければ青天井で、ゼネコンの言いなりになるのではないか」「上限価格のないものに参加してくる業者はあるのか」「上限額を定めないというのは納得いかない」などといった否定的な意見が続出し、市長の責任を問う声もあがった。

 委員からの「6月には市長選がある。それまでに何としてでも業者と契約する、病院問題を前に進める、という思いはあるのか」という質疑に、本郷谷健次市長は「やる気ではなく、スケジュール的にやれるかどうかだ、と思う。公募して何社からか出てくる提案を専門委員会で検討していかなければならず、市長選までだと、契約までもっていくのは実質的に難しい。できるだけ早く、と担当と一緒になって取り組んでいるが、社会情勢は激しく動いていて、なかなかいい策が見つからなかった。思いはあるが、実質的に市長選までだと厳しい」と答えた。

6月15日投開票の市長選、再び争点となるか

 6月15日投開票の市長選では、4年前の市長選で市立病院の紙敷移転を推し、現地建て替えを公約に掲げた現職の本郷谷市長に敗れた、川井敏久前市長が先日、出馬表明している。前回の市長選で最大の争点となった市立病院の移転・建て替えだが、今回の市長選でも再び争点となる可能性が出てきている。